カンムリワシが触れる距離に。保護した個体だろうか。

「カンムリワシが畑にきたよ。触れる距離にいる」と、連絡を受けて行って見ると…。ほんとに触れる距離にいるんだもん。びっくり。

カンムリワシと人

このカンムリワシ、けっこー珍しい生き物なんです。島に暮らしていると当たり前のように見ますが、以下のように様々な法などによって手厚く保護されているのです。

  • ワシントン条約
  • 環境省指定 絶滅危惧IA類(CR)
  • 文科省指定 特別天然記念物
  • 環境省他指定 国内希少野生動植物種(種の保存法)

まさか道路に轢かれたカエルを食べに車道にノコノコ出てくる生き物が、こんないろんな法律なんかで守られてるとは思わなかったでしょ?

だからこそ、この写真はまずいんです。こんなに人に慣れてしまっているってことは、人間は安心できる生き物だと思ってるはずなんです。このままでは無意味に人に近付くようになるかもしれない。車道に出てきて車で轢かれたり、もしかしたら人に捕まえられてしまうかもしれません(そんなことが無いことを祈るしかないけど)。

なぜ、野生生物にこんなに近づけると思いますか?

カンムリワシに触れそう(iPhoneで撮影)

もしかすると、怪我をして保護された個体かもしれません。日本では野生生物の保護が良いことのように行われていますが、その弊害はこのような形で目に見えることがあります。私は野生生物の保護にはあまり賛成できません。「困っているひとがいたら助けよう」という気持は大切だと思いますが、動けない生き物を連れていくことは「誘拐」ではないでしょうか(特に幼鳥などの場合)。

カンムリワシは公共施設などでよく保護されます。そのたびに「元気になったので放鳥した」とメディアに掲載されますが、その後カンムリワシはどのようになったのか、、、誰が知っているでしょう。
その場限りでイイことをした気になっていては、何の意味もありません。何より、ずるいですよ。誰だって「イイことした気になりたい」ですもん。でも大切なのは「その先」のことを考えること。相手の立場になって考えることだと思います。

野生動物は自然のままに生きていくのが本来の姿であり、私たち人間は手を貸さずに見守ることが基本です。「放っておくなんてできない。かわいそう」という方もいるでしょう。私もそう思いますし、人間だったら方って置かれることなんてないですもんね。では、森の中で誰の目にもとまらずに弱っているカンムリワシのことを考えてください。生きられなければ死んでいく、それが自然の生き物の生き方です。そこに人間の入る余地はないはずです。だから、たまたま人目につく場所でその生き物が弱っているからと言ってすぐに保護する必要はないはずです。まずは、生残できるか様子を見ます。野良犬猫に襲われる心配がある場合には対処する必要がありますし、特に、カンムリワシなどのように指定されている生き物が弱っていたら、関係機関に連絡をし、専門家に任せればOKです。大切なのは「考えること」。わからない時には、相談してください。

どうしても保護したい場合には、保護したあと、だれがその面倒を見るのか、よく考えてください。あと、その動物が危ない病気をもっていないかについても、よく考えてから動いてくださいね。

一匹の命を尊う気持はとても大切ですが、野生生物が生きていく環境そのものについて共に考えていけば(教育現場などで)、それは保護を超え、保全につながることでしょう。石垣島に100匹ほどしか棲んでいないカンムリワシのことを考えること、それは他の生き物の命を考えることにつながります。みんなで地球の生き物のことを考えていければいいなって思います(あきら

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