6時20分、島は暗闇と、分厚い雲に包まれている。
この季節は、朝早くに目覚めても朝日を期待することはほとんどない。
冬から春にかけては、沖縄は曇りや雨の日がほとんどなのだ。
撮り貯めた写真を整理して、ブログを書き始める。
キーボードが冷たくて、かじかんだ手を温めようと
ハンドウォーマーに差し込んむと、ベストのジッパーが外れてしまう。
6年着るとこうなってしまうのか。縫うよりも修理に出した方が良さそうだ。
7時30分、日の出。まだまだ暗い。
7時40分。日の出を過ぎるが、まだ明るくはない。
少し書いては外を見る。色彩の飛んだ海の色が寂しく目に映るが、
ふと空を見ると、雲に切れ間が出来ている。もしやと思って外に出ると、
山の稜線が暖かな陽の色に照らされていた。
7時50分。
昨年、友達にもらったレンズをつけて屋根に登る。
友達は、「マクロ用に改造してあるから」と一言、このレンズを僕に手渡した。
聞いたコトもないメーカーのレンズで、
裏返すと赤いペンで [ 200円 ] と書かれたシールが貼ってある。
剥がさないところが彼らしい。
マクロ用のスイッチはすぐに外れてしまうが、AFは生きていて、
思ったよりもきれいに撮れるのが嬉しい。なにより軽いのだ。
事務所の屋根に登ると、海からの強風がたえず僕の体を揺らす。
屋根から落ちるほどの強風ではないけれど、
まだ頭が冴えていないから足場に気を配る。
北の平久保半島が太陽の光で照らされている。
まだまだ陽は昇らない。
光の筋は雲か、それとも山の形でできるのか。
山の向こうに行って見てみたくなった。
光の筋はゆっくりと時計回りに動いていき、自在に太さを変えていく。
待てど待てど陽は昇らない。
遠くに見えるのは、マンタスクランブルがある川平の山だ。
沢山の雲が右から左に流れてゆく。
リーフで湧く白い波なみが光を浴び始めたようだ。
いつものこの瞬間が好きだ。
海はサンゴ礁に守られているから、手前のビーチには高波がやってこないというが、
僕の体を守るものは何もない。冷たい風に、体温をどんどん奪われる。
ダウンジャケットを着てくれば良かったと思うが、もう遅い。
「服を取りにいって日の出を見逃したくないしだろう」と自分に言い聞かせて、
日の出を待った。
稜線の光の卵が膨らんできた。もうすぐ、太陽が顔を出す。
ファインダーごしに太陽を見られなくなってきた。
8時14分。
しぼりを目一杯あげて、シャッターを切る。
やっと太陽が昇ってきたんだ。
もういい加減に寒くなり、急いそと屋根を下りる。
手はかじかみ、フードをかぶっていても頭は冷えて固まっている。
それを解すには、コーヒーがちょうどいい。
さぁ朝ご飯の時間だ。
日常を撃て。 - レンズをくれた友達が綴る写真帳