やえやまサンゴカフェに登壇・海を調べる市民調査(水平透明度)のご紹介をしました。

水平透明度調査を体験する市民

石垣島・西表島で月イチで開催されている「サンゴカフェ」にて、海の透明度を調べる市民調査をご紹介してきました。

今年は、世界中でサンゴ礁について考える「国際サンゴ礁年」。サンゴ礁の現状や未来について沢山の人たちに知ってもらおうと、各地で普及啓発イベントが開催されています。

国際サンゴ礁年とは
国際サンゴ礁年とは、サンゴ礁を守り、大切にするため「世界中のサンゴ礁に関係する人々が連携して活動しよう」というスローガン。

石垣島でも「やえやまサンゴカフェ」と題して、サンゴ礁に関係する人々が起用され、毎月一回、市民にサンゴ礁の現状を伝える講話が開催されています。

サンゴカフェ第6回は

今日はその第6回。「サンゴの住めるキレイな海☆石垣島のキレイな海はどこ?」というタイトルで私がお話しをさせて頂きました。

今日のテーマは「水のきれいさ」。サンゴが成長するには、海の水がきれいでないとなりませんが、そもきれいさとは何でしょう?サンゴが住みやすい海とはどんな海なのでしょう。

今日の講話では、今日の参加者の皆さんに「石垣島のきれいなビーチ、きれいでないビーチ」を予想してもらい、白地図に付箋を貼ってもらうところからスタート。

  • きれいなビーチ = 緑のふせん
  • きれいでないビーチ = 赤いふせん

こどもたちが貼る様子を温かく見つつつ、自分はどこに貼ろうかと悩む大人の姿も。

やはり川平、米原エリアは「きれい」な印象。逆に漁港周辺は「きれいでない」印象のようです。


八重山 海のきれいさ調査隊の活動

「きれいさ」は人によって感じ方が違うため、だれもが「これはきれいだ」とわかるような目安が必要です。

専門家の先生による指標
サンゴが元気に育つには「水平透明度が14m以上であることが望ましい」という指標を東京工業大学の灘岡先生、沖縄県衛生環境研究所の金城さんらが提唱。

私たちはその「14m」という数字を元に、八重山の海の現状はどうなっているかを探るべく、2012年に「八重山 海のきれいさ調査隊」を結成し、海のきれいさを調べ始めました。

2012年の一斉調査

左上の矢印ボタンを押すと夏と冬のデータを比較できます。

今日の講話でもお話しした2012年の石垣島周辺の海の状況です。9月、12月ともに、島の南側の「ただ浜」の数値が、島北西部にある「米原ビーチ」とほぼ同じ数字です。

私たち調査員も(上の写真同様に)島の南側はきれいではないと考えていたのでこの調査結果には驚きました。ですが、島の南側できれいなのはタダ浜だけ。周辺のビーチの透明度はとても低い結果でした。

(ちなみに、このタダ浜を調査した調査員は、当時環境省で保護官と保護官補佐として働いていたH・H氏。二人ともボランティアで参加してくださいました)

「なぜ、こんなにも街に近い海がキレイなのでしょう!」その理由は、さらなる調査を進める中で明らかになるはずです。


市民調査を通して

この調査で私たちが得たものは、

  • 自分の手で調べる(思い込みや想像など、主観を排除)
  • 結果をもとに(自分たちで未来について)皆で考える
  • いろんな人を巻込み、調べ続ける
こうしたことの大切さです。

研究者や行政のデータを元に議論をしても良いと思いますが、今回のように「誰も知らなかった結果」が市民調査から得られることもあるため、自分たちでも調べることも大切です。

小学生にも参加できる海の調査

水平透明度調査を体験する市民

調査のやり方はとっても簡単。紐と白板を使って二人一組で行います。水深の浅い場所でも手軽に調査ができて、結果をその場で得ることができます。何回か練習すれば、家族や友人同士でシュノーケルや海水浴のついでに調べられます。

調査データは、スマホから専用フォームで送信。自動的に事務局に届くので、調査後すぐにデータが集計されます。年に数度の一斉調査イベントでは、集ったデータを基にランチミーティング。白地図に結果を落し込み、新聞などを通じて市民に情報提供をしていくつもりです。


濁りの原因は陸からやってくる

皆さん、小さじ一杯の土をペットボトルに入れてみて下さい。どれだけ水が濁るかすぐに体験することができます。今回のサンゴカフェでもそれを実演。皆さんびっくりされた様子。

海の透明度が濁る原因は、主に陸からもたらされます。

  • 道路排水(冠水しないよう道路の水はすぐ海に流れる)
  • 農業排水(畑からの表土の流出)
  • 生活排水(島内は下水道に接続していない家庭も多い)
  • 工業排水(精糖工場など)
それら↑は海底に溜り続けることもあり、台風の後などに再懸濁(巻き上がって再び濁らせること)することもあるし、海を工事(海底を掘る浚渫や護岸工事など)するときに周辺を濁らせてしまう原因にもなります。


サンゴカフェで伝えたかったこと

一緒に海を調べましょう!」ということです。

なぜ調べなければならないかというと、私たちのように「ビーチのすぐ近く」の海を調査している人は他に誰もいません。海の濁りは陸からもたらされますから、こうした浅い場所の調査はとても大切です。

なぜ大切かというと「未来、海がきれいになったとき」(過去と)比べることができないのです。本当にきれいになったのかわからなくなってしまいます。

逆に言うと「未来を変える力になる」かも知れません。そのために一緒に調べてくれる人を募っています。

今回は、数名の市民の方が「やりたい!」と手を上げて下さって(中には小学生も!)、早速 連絡先を交換しました。


りんぱなの取組みも紹介

私たちりんぱなでは、コンビニローソンさんと国土緑化推進機構出資のもと、サンゴ礁を農業廃水から守るための植樹をしています。
また、鹿島建設さんとご一緒に、サンゴの試験移植も行っています(研究特採)。それらをご紹介。サンゴ礁を自分の手で調べたり、守ったりする活動を紹介しました。


質疑応答では鋭い質問も。皆さん海やサンゴ礁への興味関心がとても高くて、私もチームの活動をご紹介するのがとても楽しくて。あっという間の1時間でした。また透明度調査の説明会や、体験会も実施します。興味がある方はお越しいただいたり、直接ご連絡下さい!

環境省石垣自然保護官事務所の皆さま、今日はありがとうございました!


透明度調査の体験会を実施します!

透明度調査・体験会
日時:10月14日 日曜日
時間:9時〜12時(集合→体験→シャワー→記録)
料金:無料
場所:エコツアーりんぱなに集合・浦底湾にて体験
人数:先着10名様(現在6名様の予約済)

また詳しい内容を掲載していきます。お楽しみに!
お申込みは、電話:09081263209 内藤までご連絡ください。またはこの下のコメント欄への書込みでもOKです。


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