徳之島からのお客さま

今夜のホタルツアーは、1家族だけの貸切り。徳之島の産まれというご両親に、ぜひホタルを見せてあげたいという強いご要望を受けて、今いちばんホタルがきれいな場所へとご案内しました。

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「ちっくー。ちっくーだ!」

ホタルが光り出す前の薄暗い中、アカショウビンやフクロウたちが鳴いています。その声を聞いて、77歳のお父さまがそう言います。最初何のことか解らなかったけれど「フクロウのことをそう言うんだよ」と言われて、島でも「ちっこー」「ちこほー」などと呼ばれているのを思い出しました。

徳之島は、奄美大島と沖縄島(沖縄本島)の中間に位置し、同じ琉球列島の島。石垣島の森で鳴いているリュウキュウコノハズクは、奄美大島以南〜台湾、フィリピンまで棲息するとされているので、ちっくーの声を懐かしまれたのでは。

そんなことを考えているうちにホタルたちが光り出します。「すごい」「すごい!」「いっぱいだ!」と、嬉しそうにホタルを見ながら昔ばなしに花が咲きます。

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私が徳之島の農業の話を聞くと、お母様は「薩摩の財源(はサトウキビ)だったの」と、70万石以上を誇る薩摩藩の話を聞かせてくださいました。調べてみると沖縄県でも1600年代からサトウキビ農業がはじまっていて、八重山に伝わったのが1800年台後半のようです(私のお店の近くは戦後移民の方々の集落で、サトウキビ栽培が始まったのもその後すぐと聞いています)。

「牛で農業してるときの写真がありますよ」と、お父さまの昔の姿は、今よりもっと逞しかったことでしょうね。「シークワサーも沖縄の人がよく獲りに来ていた。自分で獲ってく方が安いから、と自分で獲っていたけど。沖縄の人は商売上手だったのね」と、お母様は植物が大好きなようで、森に生えるイヌビワやヒカゲヘゴに嬉しそうで、「この葉っぱの名前わかる?徳之島から持ってきたのが何メートルにも大きく育ってね」とセンネンボクの話を聞かせてくださったり。

恥ずかしながら全く知りませんでしたが、徳之島の方々も石垣には古くからよく来られていたようで、徳之島のカムィヤキ(亀焼)という焼き物は、琉球の各地から出土しているとのことです。発掘調査のアルバイトをしいてる時は青磁や白磁の土器片の出土が中心でしたが、山の中や浜では素焼きの破片が多く見つかります。そうしたものも、もしかしたらこのカムィヤキなのかもしれません。私が住んでいる富野・大田(旧桴海村)地区からはカムィヤキの出土が無いとされていますが、白磁や青磁の出土はあるとか。その時分は道路は無く、海からのアクセスのみ可能だった場所です。

まだまだ知らないことが沢山で、お客さまから教えて頂くことも多く、今夜は素敵な出会いに心躍る時間でした。

「よかった。いっぱいいた」と、ホタルたちが光終わると満足げに微笑まれていたお顔、忘れられません(なるべく早く解散できた方がお疲れ無い成らないだろうと、先を急ぐ余り集合写真を撮り忘れてしまいました。ごめんなさい)

ホタルの数は全部で250匹ほど。いつもの場所はひろ〜いエリアに350匹前後が居ますが、今夜の場所はとても小さなエリア。そこに250匹もいるとなる、写真で獲ったホタルの量の多さにも違和感はありません。今年はホタル成虫の発生が3週間ほどずれ込んでいますから、6月20日前後までは未だ未だ見頃だと思います。6月末〜7月頭にかけても飛び交いますが、その頃は日没との兼ね合いで数が急激に減り、そのまま収束すると予想されます。今年のホタルツアーも残り僅かですが、そんな時間を楽しんでガイドしたいなと思います。

ブログの更新がおろそかですが、以前のブログもゆっくりと掲載していきますので、どうぞお楽しみに!

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