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浦底湾で行うサンゴ増殖の計画書です。
過去の試験
2018年に行った試験
2018年、浦底湾の3地点で、自然分解性ネットに台風などで折れたサンゴを固定し、成長,生残の様子を調べた。
試験前(2017年)の現場の様子
- この3地点周辺のミドリイシ属サンゴの被度は1%未満まで減少していた。
- 折れたサンゴ片や死サンゴについた稚サンゴなどが見られる程度。
- 夏場(南~東風)の水平透明度は平均6m、冬場(北東風)の透明度は最大33m。
- 北よりの風が吹く日は、西から東に向かい強い潮流が起こる。
本試験はそれら折れたサンゴ片等を用い、鹿島建設からコーラルネットの提供を受け試験した(特採取得済み)
各地点4㎡の試験区(砂地/ネット上/ネット上/ネット上遮光区)
2018-08-27
2020-02-12
生残率(2019年11月)
その後、ネット上だけでなく底質のサンゴも生育が見られた
2019年〜2020年にかけて、2016年以後に加入したサンゴに成長が見られる(写真:st07東 水深-2m)
私たちは次の計画を考えている。
有性生殖による増殖
- 試験海域は、季節風や台風の暴浪によって潮流が加速するエリアだ。人工着床具(ねんど基材)を海底に置いたままでは海流で流されてしまう可能性が高いため、コーラルネットで被覆する。数年で自然分解される。
- コーラルネットを敷設する底質はサンゴ礫や砂地で、かつ潮流が早いため、付近の砂地で生育する(かつての優占種であろう)樹枝状サンゴから採卵を行う。
プロポーション
マス目の面積
5,4,5 の面積は 20㎡,16㎡,20㎡である。ドローンで上空から撮影した際に形状が確認でき、且つ設置可能なサイズである1マス/4㎡を基準とした。
基盤の数量
1㎡/9個 の機材を固定する。2018年から試験では㎡/20としたが成長が早いため、設置密度は㎡/10以下が望ましいと考えた。
海域の特性を利用する
当海域は西からの潮流が強く、台風などによる暴浪では1kg以上の重量があるミドリイシも移動してしまう。現在設置しているコーラルネットには2019年の台風で計3群体の樹枝状ミドリイシの加入が見られた(下写真、右の白丸の3群体が台風後に流されてきたミドリイシ)。
今回の5,4,5では、西側の5を海底面から20〜30°上げて斜めに設置し、西から流れてくるサンゴ礫や転石などを受け止める。それにより東側 4,5の損害が抑えられると考えている。
基盤数
2020年に行う試験では、(西) 5,4,5 (東) といった、東西に横長にコーラルネットの設置する。
西側は、転石やサンゴを受け止める”サンゴキャッチ”なため、人工基盤は取り付けない。
中央、144個(16㎡ x 1㎡/9個)
東側、180個(20㎡ x 1㎡/9個)
合計、324個 となる
周辺サンゴのモニタリング
スケールを置き、根をスキャンしてモニタリングします。
浦底湾北側 -3.5m(2010年以前素晴らしい景観だった場所)
浦底湾西、富野小下 礁縁部 -4~6m