3/21 ホタルたちに囲まれた春分の日。

今日は春分の日。昼と夜の長さが同じになる、満月の日ですね。

石垣島はなんだか夏のよう。

山には雲がかかり、街では日差しを熱く感じます。少し重たい風が体を包み込み、洋服が肌にしっとりと張付いて、「きっと、ホタルにとって良い日になるな…」。昼間からそんなことを考えていました。

そして、今日はなんだか書きたい気分。長々と書いてみます。

気温、25℃の森の中。今日のお客さまは全員、集合時間よりも随分早くに集ってくださいました。皆さん、参加したい!って気持に溢れていて、力強い視線を感じます。

時間もたっぷりあるし、島の森や海についてお話ししたり、植物を通して島の成立ちを考えたりと、いろんな話題をお話ししました。写真は生きた化石でもある植物をご紹介しているところ。

たっぷりと自然を解説したあとは、心と体を森に浸す「浸呼吸」の時間。目を閉じて、森や島を感じます。わずか1分たらずですがとても心地良い時間です。

目を開けて数秒、みんなのすぐ目の前に、ホタルが一匹、チラチラと飛びました。

光った…

ホタルは時間にとても正確で、毎夜決った時間に光り出します。光り出す時間は±4分程度の差なのに、今日は10分も早かった。こんなことめっったに無いんです。会社員に例えると、いつも遅刻ギリギリに出社する人が始業1時間前に出社してるくらい珍しいコト。「えっ、おいどうした?」ってなりませんか(笑

それに、この一匹はさわれるほどの近さで、目の前で光りました。詳しい方なら「おぉ」とお解りいただけると思いますが、通常ヤエヤマヒメボタルは森の奥(暗がり)で最初の一匹が光ります。こんなに明るい場所で光るなんて不思議でたまらないのです。

今夜は森に私たちだけしかいなかったし、浸呼吸した私たちと森とが心地良く同期して、ホタルも思わず光りたくなったのかな。それとも、春分の日で、これから夜が短くなるからと気が急いてしまったか。。や、そんなことは無いな、、なんてひとり妄想に耽るのです 笑

ホタルが光り出す前はたっぷり自然のお話しをしますが、ホタルが光り始めたら、わたしはほとんどしゃべりません。だって言葉がいらない時間だし、この情景をことばにするなんて、私にはできないからです。

「言葉にしたら、ちがっちゃう。…。ことばにすると、、….変っちゃう….」と、あるお客さまがことばを選ぶように、でも言葉の着地点が見つからずに首をかしげてしまうような素振りで、つぶやいていました。

先日、りんぱなの絵を沢山書いてくださっている画家さんが遊びにきてくれて、いろんなお話しをしました。「ヒトって、なんだろう」「人として生きるって、どんなことだろう」なんて、ちょっと深い話まで。ヒトって不思議な動物です。いろんなコトに感動出来ます。「動物は感動しないのかな」画家さんが言います。すると思います。イルカと初めて泳いだときとても不思議な光景に出会ったし、ほかにもいくつか経験があります。動物にも「感じる」時間は有るのでは。では、ヒトとはいったい何か。このホタル(を見ている人々)を見ているとそんな疑問が沢山浮んできます。ホタルが同期するのはカオス振動だけれど、それはヒトにどう作用するか。力学や芸術、哲学、神学。いろんなことを学べばもっと深くガイドの手法を知ることができるのかな。

いかがですか?」と聞くと「圧巻、ですね」と、満足げな笑顔の方。「想像を越えていました」と話しかけてくださる方、「山の奥から湧いてくるみたい」とぽつりとつぶやく方も。

ひとりひとりに染渡る時間だったと思います。

大人になったら、この景色を見てお酒を飲みたいな」という16歳の男の子。なんていい青年なんだろう!と嬉しくなってしまいました。「島に住みたくなっちゃうな」とも。そんなに気に入ってくれるなんて、心から嬉しい時間です。さっきまで考えてた「ひととは云々..」なんてすっかり忘れて、もう頭にはビールの銘柄が浮びます。

いつか一緒に飲もうね!いつでも訪ねてきください。

わたしは、「浸呼吸」するガイドがとても好きです。何年も前、尊敬する九州の先生からヒントを得て、夜空を見上げながらスタッフと作りあげたわずか1分たらずの「感じる」時間。スタッフの間では「感じる」って呼んでいたけど、浸呼吸もいいなと今ふと思いつきました。どうかな。

この浸呼吸をしない日は、最初の一匹の光を見ると「光ったー!!!」って大騒ぎになるけれど、浸呼吸する日には「あ….」って声だけの方も。どっちが良いかと言われると…難しいです。すごく難しい。ホタルたちの光り方は、私には毎夜全く異なって見えるし、もちろんお客さまの反応も毎回違う。その日のお客さまやホタルたちにあわせて、全く違うガイドをするのですが。今夜はわりと自分好みのガイド手法で流れを作れて、それでいてお客さまの笑顔が沢山だったので、だから嬉しい夜です。
(自分好みでないガイド手法をする日の方が満足度が高いこともあって、なかなか難しいなと思うこともありますが)。

私事ですが、このホタルを見ていると、キース・ジャレット が弾く I’m Through With Love が聞きたくなります。I’m Through With Love と言えばマリリン・モンロー。うっとりと聞かせるのに歌詞は何て切ないこと。それをさらりと歌う姿が本当に格好いい。空しいことも沢山あるけれど、こんな風にさりげなく表せるようになれたらな。

キースジャレットもいいけど、モンローを聞きながらこのホタルも見たいな。今なら泣いちゃうかな。さて、次の休日は…4月2日かぁ。休みも無くてなんて泣言です。(笑

ホタルツアーは大好きな時間。明日も沢山の方々とこの時間を共有できること、楽しみにしています。今日もありがとうございました。

あぁ、いっぱい書いてすっきりしました!笑

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