最近の石垣島は、朝夕にアカショウビンが鳴き、クイナの仲間たちがラブソングを歌う初夏の季節になりました。風が木々を揺らす音や、遠くの海を船が行き交う低いエンジン音が聞こえ、雲が流れ行き、通り雨がよく降ります。
1月ごろ、事務所の裏にシャワー室を新設したとき、その裏の森に細い小道を作りました。木材や伐採した木々を山積みにしておく堆肥場を作りたくて。
今、ふらっとその小道を歩いていたら、目が醒めるような甘い匂いが漂ってきて、ふと見ると、崖の上に(堆肥場の奥は崖なのですが)クチナシの花が満開に咲いていました。
島のクチナシは「満開」と言ってもまばらに咲く程度ですが、この木は花と花が重なるように咲き乱れ、花の重みで枝が枝垂れているように見えるほど。南風が小道に吹き込むと、芳醇な香りが柔らかく顔を包みます。
この場所に住んで10年以上経ちましたが、事務所の裏に、大好きな木があるなんて今まで知りませんでした。
私はこの土地のことを、知っているようで全然知らないなと、いつも思うのです。
んー、本当にいい香りです。