「どうして、みんな幸せそうなの?」ガイドあきらの想いとは

ツアー開始前、ガイドの解説に笑顔で聞き入り、夜の森への期待感を高める参加者たちの様子

画像: ツアーが始まり、ホタルが光りはじめるまで、森の植物や動物を紹介するガイド。

あるシュノーケルガイドの疑問

以前、他店でシュノーケルガイドをしていたスタッフが、りんぱなのホタルツアーに参加した際、不思議そうにこんな質問を投げかけてくれました。

「私のお店では、お客様の笑顔を沢山撮らないといけないから、必死に盛り上げて、あの手この手で話しかけます。でも、あきらさんはホタルが光っている間、ほとんど喋りませんよね。それなのに、なぜお客様はあんなに幸せそうな顔をして帰っていくんですか?」

彼女の言葉には、現場で「盛り上げ役」を担ってきた苦労が沢山、詰まっているようでした。私は少し考えて、こう答えました。

「感動は言葉では伝わらないし、この森が、代わり伝えてくれるから」

トークで盛り上げるのではなく、環境を整える

一般的なアクティビティでは、ガイドのトークやキャラクターが満足度を左右することが多いかもしれません。しかし、りんぱなが目指すホタルツアーは、「ガイドが主役」ではありません。

私たちの役割は、トークで場を盛り上げることではなく、ホタルが最も美しく、爆発的に増える環境を「デザイン」し、お客様をおもてなしすることにあります。

15年という歳月をかけて森を整え、この「専用フィールド」に、ヤエヤマヒメボタルの圧倒的な光が満ちたとき、そこにはエンターテインメントとしての完成された世界が広がるのです。その景色そのものが、何よりのホスピタリティになると信じています。

わずか30分の「光の聖域」

ヤエヤマヒメボタルが光る時間は、1日のうち日没後のわずか30分程度です。この貴重な時間に、ガイドが解説に終始すると、お客様の「没入感」を削いでしまうように思うのです。

他社のホタルツアーのガイドさんを批判するわけではありません。ホタルの数が少ないエリアでは、どうしてもトークで場を持たせないとならない場合もあります。それに、私たちも以前は於茂登岳周辺でガイドをしていましたから、お話好きなガイドさんが多いことも、よく知っています。

沢山のガイドさんを見てきた上で(※1)、私は、光がピークを迎える時間帯にあえて静寂を選びます。 私たちの場所は、他所の数倍以上のホタルが見られますから、感動のレベルが違うのです。だからこそ、お客様には自由に森を歩き、360度から押し寄せる光の粒を全身で感じていただく。言葉にならないような圧倒的な光景を前に、あちこちから感嘆の声が聞こえる。そうした光景を見ているのが大好き、という理由もあります。

もちろん、知的好奇心の強い方には、光が終わった後や送迎中などに、ホタルや夜行性動物の生態、環境保護の裏側など、専門的なお話をたくさんすることもあります。(助手席やガイドのすぐ後ろなど、お話しやすい場所にお乗りくださいね)

人それぞれの「幸せな時間」に寄り添う

「静かに見る」といっても、それは孤独を強いるものではありません。

  • 家族の対話: お子様と手を繋ぎ、初めての暗闇に目を輝かせる、ワクワクした時間。
  • 知的な探求: ご質問があれば、生態や森の仕組みについて、静かにお話することもあります。
  • 人生の節目: 「この景色の中でプロポーズしたい」と相談してくださったお客様もいらっしゃいました。

プロポーズを控えたお客様には、お二人だけの空気が守られるよう、サインひとつでさりげなく距離を保ちながら、安全管理をし、ホタルが光り終わったら、また集団となって駐車場へと移動します。

お客様がホテルへ戻る際、その表情が柔らかく綻んでいるのを見ると、私の顔も思わず緩みそうになります。そんなふうに、実は私自身が一番幸せを感じているのかもしれません。やはりこのツアーが大好きだなと再認識する時間でもあります。

「安心して、感動を預けられる場所であること」 それが、15年かけて辿り着いた、りんぱなのおもてなしの形です。

▼ホタルツアーのご紹介や、空き状況のご確認はこちらのページから

(※1) 独自の調査研究と保全活動への取り組み

私たち「りんぱな」では、ヤエヤマヒメボタルの基礎的な生態調査を長年継続し、その知見をウェブサイトやツアーを通じて広く発信してきました。また、島全体の環境を守るための鑑賞ルールの策定・普及にも取り組んでいます。

かつてはツアー内で現在よりもさらに詳細な解説を行っていた背景もあり、現在では於茂登岳などの主要スポットにおいて、当時の私たちの解説内容をそのまま伝えてくださっているガイドの方々も見受けられます。

現在、石垣島においてこうした独自の調査研究を継続しているのは当社のみです。得られた知見をあえて他社のガイドの方々とも共有しているのは、島全体が「ホタルへの負荷を抑えた、持続可能なガイド」へと繋がることを切に願っているためです。