しばらく晴れが続いた石垣島でしたが、今日は久しぶりに梅雨空が戻ってきた一日。ホタルスポットまでの車中、折角の休日が雨模様で残念そうなお客さまもいましたが、雨を喜ぶいきものたちもまた、ホタルスポットにいるんです。
みんなが見つけたのはセマルハコガメ。雨を感じるのがとても得意な陸ガメ(陸に住む亀)で、日本では石垣島と西表島の山や森、街中に住んでいます。雨が降る2時間くらい前になると、うろうろ歩き始めることがあるので、彼らを見ていると天気が崩れるのがわかります。
「何歳くらいですか?」
「んー10歳くらいでしょうか」
倒木や石の隙間に隠れるのが好きなカメだから、年月とともに甲羅の高い部分が磨かれて、雨にぬれて輝いていました。
ひとりが撮り出すと、みんないそいそと携帯やカメラを撮り出して….。カメは甲羅に隠れて..。
(ちなみにセマルハコガメは、国が天然記念物、絶滅危惧種として位置づけていて、最近はCITES(ワシントン条約)でも輸出ができないよう記載されるなど、国際的(特に中国)にも絶滅のおそれがある生きものとして位置づけられています)
電線に「ちょこっ」っと見えるのは、全身が真っ赤な体のリュウキュウアカショウビン。こんなに離れているのに、彼らの美しい歌声が響きます。
小雨がぱらつくなかホタルのスポットへ。梅雨前線と、今回はそれに熱低がくっついたお天気だったので、とにかく風を心配。でも大丈夫そう、お客さまが最初の一匹を見つけました^^
あちこちで光り始めるホタルたち。見ているといつのまにか雨も止み、優しい風にのって森の中で明滅を繰り返します。
暗い林道のいたるところでホタルたちが光り始め、光が草の上で束になり、夜空の頂にも舞い上がり、ぼくらが立つ道を横断し…。涼しい森の中をどこまでも飛び交っていました。
「思いっきり深呼吸ができます」と、表情を和らげるお客さま。「つつまれてる感じ」と、夜の森を嬉しそうに歩いていました。
「忘れちゃいけないこと」、ガイドの話を聞いて、夜の森をそんな風にとられたお客さまも。
「怖いかなと思ったけど、意外とそうでもなくて」
「(僕は)普段、目で見えてるのが見えないから怖かったです。でも、最後に森を感じた時間は気持ち良かった」
夜の森の捉え方は人それぞれ違うけど、怖い中お付き合いしていただいた方には恐縮でした。
「写真撮りたいと思ってたけど、自分の目で見ると感動ですね」「写真と全然違う」
すごくわかります。わたしも写真を毎晩撮っていますが(実は)、できれば目だけで見てたいと思うことの方が多いんです。特に沢山飛び交う日は、カメラのことを忘れてしまうこともあるくらい。実際にそんなホタルたちの乱舞を見ていただけて、嬉しい夜でした。
雨の一日で、観光でいらした皆さんにはちょっと残念な日だったかもしれないけれど、そのおかげでホタルは沢山飛び交っていましたね。ぼくらは水でつながってる。また地元に戻って雨が降ったら、今夜のこと、思いだして下さいね。
ありがとうございました。